ブラジルの首都ブラジリアは、「首都&世界遺産」という世界でも珍しい都市です。ブラジリアがブラジルの首都ということは知っていても、具体的にどのような都市なのか、どのような見どころがあるのかは知らない方がほとんどでしょう。
そこでこの記事では、ブラジル留学中にブラジリアの虜になった僕が、ブラジリアが世界遺産に登録された理由やおすすめの観光スポット10選をご紹介します!
- ブラジリアが世界遺産に登録されたのは「計画都市」だから
- ブラジリア建設に大きく関わった3人のキーパーソン
- 計画都市が「失敗」と非難される理由
- 大聖堂から国会まで!ブラジリアのおすすめ観光スポット10選
個人的に「ブラジルの好きな都市ランキング」でかなり上位の都市です。特にカテドラルは超おすすめ!
ブラジリアはなぜ世界遺産?理由は計画都市にあり
ブラジルの首都ブラジリアは、サンパウロ、リオデジャネイロに次いでブラジル第3位の人口(約300万人)を誇る街。1960年に建てられた、まだまだ歴史の浅い街です。
ブラジリアは世界文化遺産に登録された計画都市
ブラジリアは、UNESCOが定める下記の2つの基準を満たし、1987年に世界文化遺産に登録されました。
(ⅰ)人間の創造的才能を表す傑作である。
引用:日本ユネスコ協会連盟
(ⅳ)歴史上の重要な段階を物語る建築物、その集合体、科学技術の集合体、あるいは景観を代表する顕著な見本である。
引用:日本ユネスコ協会連盟
ブラジリアが世界遺産に登録された最大の理由は、人工的に作られた計画都市であるということ。標高1,100mの高原に作られたブラジリアは上空から見ると飛行機の形をしており、それぞれ下記のように機能が分かれています。
- 機首:国会議事堂、最高裁判所、大統領官邸など国の主要機関
- 胴体:各省庁、カテドラル、美術館、サッカースタジアム、ショッピングモールなど
- 翼:各国大使館、住宅街
ブラジリアは歴史が浅い世界遺産
ブラジリアがある場所は、もともと何もなかった高原地帯。リオデジャネイロからの首都移転計画を受けて1956年に着工し、わずか3年半という驚異的なスピードで作り上げられた人工都市です。
1960年から正式にブラジルの首都として機能し始め、建設完了から27年というスピードで世界遺産に登録されました。たった27年間の歴史で世界遺産に登録されるのは、世界的にも極めて珍しいケースと言えるでしょう。
首都をリオデジャネイロからブラジリアに移転した理由は『ブラジルの首都はブラジリア | リオやサンパウロでない4つの理由』で詳しく解説しているよ!
【世界遺産】計画都市ブラジリアの歴史を作った3人
計画都市ブラジリアを建設するにあたり、約8万人の労働者が雇用されたと言われています。そんなブラジリア都市建設の基盤を作った3人のキーパーソンをご紹介しましょう!
- ジュセーリノ・クビシェッキ大統領:ブラジリア建設&首都移転を立案
- ルシオコスタ:ブラジリアの都市計画を考案
- オスカーニーマイヤー:国会やカテドラルなど主要建造物をデザイン
ブラジリア建設の主要人物 1:ジュセーリノ・クビシェッキ
ブラジリアの歴史を語るうえで絶対に外せないのが、ブラジリアへの首都移転計画を発表したジュセーリノ・クビシェッキ大統領。ブラジリアに遷都することで、内陸部と沿岸部の経済的格差改善や失業率の改善などを目指しました。
ブラジリア建設の主要人物 2:ルシオコスタ
ブラジリアの都市全体の構造を発案したのが、ブラジル建築界の重鎮ルシオ・コスタ。飛行機の形をしたデザインはplano piloto「パイロットプラン」と呼ばれ、首都ブラジリアが世界や新しい未来に向けて羽ばたくことをイメージしたと言われています。
ブラジリア建設の主要人物 2:オスカーニーマイヤー
ブラジリアにおける主要建造物の設計を担当したのが、こちらもブラジル建設界の重鎮オスカーニーマイヤー。ユニークな曲線を基調とした彼の建築は、モダンで近未来的な建築としてブラジリアの顔にもなっています。
オスカーニーマイヤーは、ニューヨークの国連本部をデザインしたことでも知られています。
ブラジリアの計画都市が「失敗」とされる3つの理由
計画都市として建設されたブラジリアですが、時には「失敗に終わった」と揶揄されることも少なくありません。ブラジリアが失敗だったと言われる理由は、主に以下の3つが挙げられます。
- 道路が複雑すぎる
- 歩行者が道を渡れない
- 周辺都市との格差
特に飛行機の胴体部分を縦に走るエイショ・モヌメンタウ(Eixo Monumental)通りは、片側6車線の幹線道路。信号がほとんどないため渋滞は少ないというメリットはありますが、他の道路に行く際は何度も車線変更し、高速道路の出口のようにグルリと旋回しなくてはなりません。
また、ブラジリアこそ首都として発展したものの、周辺地域はいまだに貧困が深刻で、こうした貧富の差はブラジリアの治安悪化にも影響を与えています。
横断歩道が非常に少ないため、道を渡るのにすごく苦労しました。景観はきれいですが、確かに実用性は低いかも…?
世界遺産ブラジリアのおすすめ観光スポット10選
「計画都市」と聞くと「そんなに観光楽しくなさそう」と感じてしまうかもしれません。しかし、ブラジリアは見所も非常にたくさんある観光都市です!ここでは、ブラジリアで特におすすめの観光スポット10選をご紹介しましょう。
ブラジリアの観光スポット 1:大聖堂(カテドラル・メトロポリターナ)
「ブラジリアの顔」とも言えるのが、ユニークな曲線が美しい大聖堂(カテドラル・メトロポリターナ)。先にご紹介したオスカーニーマイヤーの建設で、地上部分が屋根、地下部分が聖堂になっています。
中に入ると、青いステンドグラスに光が差し込んで、とても幻想的な雰囲気に!礼拝などがなければ、椅子に座ってぼんやりと天井を眺めるだけでも心洗われます。
- 住所:Esplanada dos Ministérios lote 12 – Brasília
- アクセス:セントラル駅から徒歩約18分
- オープン時間:8:00~18:00(土曜・月曜は17:00まで)
ブラジリアの観光スポット 2:ドン・ボスコ聖堂
ブラジリアでもう一つ訪れたい聖堂が、ドン・ボスコ聖堂。外から見ると何の変哲もない教会ですが、中に入ると紫色のステンドグラスがとっても幻想的です!
ドン・ボスコ聖堂の建設を担当したのは、オスカーニーマイヤーの弟子にあたるカルロス・アウベルト・ナベス。夜になるとシャンデリアもライトアップし、よりロマンティックな雰囲気を楽しめます。
- 住所:SEPS Quadra 702 – Asa Sul, Brasilia
- アクセス:ガレリア駅から徒歩約25分
- オープン時間:礼拝時などを除き、24時間見学可能
個人的に、ブラジリアで一番おすすめのスポットです!
ブラジリアの観光スポット 3:国会議事堂
ブラジリアならではの観光スポットと言えば、やはり国会議事堂でしょう。お皿を2枚乗せたようなユニークなデザインが象徴的で、下向きのオブジェは上院、上向きのオブジェが下院の建物です。
外から見るだけでも十分に楽しいのですが、なんと内部も無料で見学可能!実際の議場まで見学できる太っ腹っぷりですので、ぜひ見学ツアーに参加してみてください!
- 住所:Palácio do Congresso Nacional – Praça dos 3 Poderes, Brasília
- アクセス:大聖堂から徒歩約15分
- オープン時間:8:30~17:30
ブラジリアの観光スポット 4:最高裁判所
国会議事堂のすぐ裏手に位置しているのが、最高裁判所。こちらも内部見学ツアーを開催しており、実際の法廷や裁判官が座る椅子などを見学できます。国会議事堂とセットで訪れるのがおすすめです。
建物の前には目隠しをした女性の像が置かれており、これは「身分や階級など人柄を見るのではなく公正に判断する」ということを表しています。
- 住所:Praça dos Três Poderes – Brasília
- アクセス:国会議事堂より徒歩約3分
- オープン時間:12:00~19:00(平日のみ)
ブラジリアの観光スポット 5:三権広場
国会議事堂のすぐ裏手には、大きなブラジル国旗が掲げられた三権広場があります。三権とは国会、最高裁判所、大統領のことを指しており、祝日にはこの三権広場で盛大なパレードが行われまることも。
- 住所:Praça dos Três Poderes – Brasilia
- アクセス:国会議事堂より徒歩約3分
ブラジリアの観光スポット 6:プラナルト宮(大統領オフィス)
三権広場の向かいに見えるユニークな建物は、プラナルト宮と呼ばれる大統領のオフィス。建物の入り口には衛兵が立ち、夜になると白い建物が幻想的にライトアップされます。内部を見学するにはかなり手続きが複雑なので、基本的に外観を楽しむだけに留めておきましょう。
- 住所:Praça dos Três Poderes – Brasilia
- アクセス:国会議事堂より徒歩約3分
ブラジリアの観光スポット 7:アルボラーダ宮殿(大統領官邸)
大統領のオフィスだけでなく住居も見学したい方は、アルボラーダ宮殿まで足を伸ばしてみましょう。人工的に作られたパラノア湖の畔にあり、広大な自然が見渡せる落ち着いた雰囲気です。
- 住所:Zona Cívico-Administrativa – Brasília
- アクセス:国会議事堂からタクシーで約5分
ブラジリアの観光スポット 8:テレビ塔
計画都市としてのブラジリアを実感したい方におすすめなのが、ブラジリアの街並みを一望できるテレビ塔。高さ75mの位置にある展望台からブラジリアを見ると、飛行機の形をしていることが実感できます。
テレビ塔の下では9:00~18:00(水~日)に民芸品市場も開催していますので、ぜひブラジリア観光のお土産探しに立ち寄ってみてください。
- 住所:Torre de TV SDC, Eixo Monumental, Brasília
- アクセス:セントラル駅から徒歩約20分
- オープン時間:9:00~19:00(月曜定休)
ブラジリアの観光スポット 9:ジュセーリノ・クビシェッキ記念館
ブラジリアの歴史を詳しく知りたい方は、ブラジリア建設と首都移転を提唱したジュセーリノ・クビシェッキの記念館に行くのも良いでしょう。
内部にはジュセーリノ・クビシェッキの生い立ちやブラジリア建設に至る資料、さらにジュセーリノ・クビシェッキが乗っていた車など、ブラジリアに関する貴重な資料が展示されています。
- 住所:Eixo Monumental – Lado Oeste – Praça do Cruzeiro, Brasília
- アクセス:セントラル駅からタクシーで約10分
- オープン時間:9:00~18:00(月曜定休)
ブラジリアの観光スポット 10:ジュセーリノ・クビシェッキ橋
独創的なデザインからブラジリアのシンボルとしても用いられる「ジュセーリノ・クビシェッキ橋」。2002年に建てられた比較的新しい橋で、3つのアーチが重なり合うように設計された非常にユニークな橋です。
気象条件が重なれば3つのアーチが湖面に映り、眼鏡橋のように見えますよ!
- 住所:St. de Clubes Esportivos Sul Trecho 2 – Asa Sul, Brasilia
- アクセス:国会議事堂からタクシーで約10分
世界遺産ブラジリアは標高1,100mの計画都市
ブラジリアは、何もない標高1,100mの高原地帯に作られた計画都市。日本のスカイツリーよりもはるかに高い場所に作られたと思うと、約3年半で完成したということがいかに凄いスピード感だったかが実感できるでしょう。
ブラジリアへは、リオデジャネイロやサンパウロからも国内線でたったの2時間ほど。2~3日あれば十分に観光できるコンパクトシティですので、ぜひブラジル観光の際には選択肢の一つとして検討してみてくださいね!
ブラジルの観光スポットについてもっと知りたい方は『レンソイスマラニャンセス国立公園の行き方&ベストシーズン【ブラジルの絶景】』や『ブラジルの日本人街リベルダーデ地区の観光スポット5選【元在住者厳選】』も併せてご参照ください。
- 大聖堂(カテドラル・メトロポリターナ)
- ドン・ボスコ聖堂
- 国会議事堂
- 最高裁判所
- 三権広場
- プラナルト宮(大統領オフィス)
- アルボラーダ宮殿(大統領官邸)
- テレビ塔
- ジュセーリノ・クビシェッキ記念館
- ジュセーリノ・クビシェッキ橋
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