世界一の流域面積を誇るアマゾン川。
人知を超えた壮大なアマゾン川では、河川の水が逆流する「ポロロッカ」と呼ばれる現象が起こることをご存知でしょうか?
この記事ではブラジル在住歴のある僕が、ポロロッカが起こる原因や時期、さらにポロロッカを利用した名物サーフィン大会などについてご紹介します。
- 「ポロロッカ」ってどういう意味?
- なぜアマゾン川が逆流するの?
- 日本でもポロロッカが起こることはある?
ポロロッカの仕組みはとっても簡単!シーズンを狙えば現地で見られる可能性も十分にありますよ。
アマゾン川が逆流する現象「ポロロッカ」とは?
「ポロロッカ」とは、一言でいうとアマゾン川の水流が海流に押し戻され、逆流すること。
アマゾン川河口地域で見られる現象で、月の満ち欠けと深く関係しています。
アマゾン川が逆流する「ポロロッカ」の意味
ポロロッカ(Pororoca)は、川が逆流する現象を指すポルトガル語。
もともと先住民(インディオ)の言葉で、「大きな轟音」を表すオノマトペporo’rokaに由来しています。
「ポロロッカ」は「河川の逆流現象」を意味する単語として世界的に広く用いられていますが、各言語では下記のように呼ばれることも少なくありません。
- 日本語:「海嘯」、「潮津波」
- 英語:bore
- スペイン語:macareo
ポロロッカが起こる理由は大潮
ポロロッカが起こる仕組みは、月の満ち欠けと大きく関係しています。
ポロロッカが起こるのは、新月か満月に起きる「大潮」のとき。大潮の時期は月や太陽の引力の関係で干満差が大きくなり、海面が上昇することで水が川に押し戻されるのです。
ポロロッカが観測できるのはアマゾン川の河口地域のみ。中流や上流で見られることはないよ!
ポロロッカが起こりやすい時期は3~4月
アマゾン川で最もポロロッカが起こりやすいとされているのは3~4月。
これは、アマゾン河口地域での雨期(12~5月頃)に一致しており、3~4月が最もアマゾン川の水量が多くなると考えられているためです。
3月の大潮の日になると、川の逆流が河口から数百km離れた場所で観測されることも。波の規模も下記のとおりとなります。
標準的なポロロッカ | 3月のポロロッカ | |
波の高さ | 約0.5m~5m | 最大約10m |
並のスピード | 時速約15~30km/h | 最大時速約65km/h |
逆流現象はアマゾン川以外でも起こる
アマゾン川の代名詞として用いられるポロロッカですが、実は川が逆流する現象はアマゾン川に限った話ではありません。
下記のように世界各地で、川の逆流現象が観測されています。
- インド:ガンジス川
- フランス:セーヌ川
- 中国:銭塘江
日本でも九州地方で「網引(あびき)」と呼ばれる逆流現象が起こることがあります。
アマゾン川の逆流現象ポロロッカにはサーフィン大会も
ポロロッカは時にアマゾン川河口の街に洪水被害をもたらすこともありますが、一方でポロロッカを名物にしたサーフィン大会も開催されています。
サーフィン大会の会場となるのが、アマゾン川河口の大都市ベレンに程近い「サン・ドミンゴス・ド・カピン(São Domingos do Capim)」という街。
毎年3月~4月頃の大潮の時期になるとサーフィン大会が開催され、「ポロロッカの波に乗りたい」と世界中からサーファーたちがこの地を訪れます。
1999年から開催されているこのサーフィン大会は20年以上もの歴史を誇り、イベント期間中には2万人近い人がこの街を訪れます。
最高記録としては、なんと34分間ポロロッカに乗り続けたという強者(2003年)も。他にも「60人同時でポロロッカサーフィンチャレンジ」(2015年)なども行われ、ブラジルでは話題を呼びました。
ある意味サーファーにとっては「聖地」と呼べるかもしれないね!
アマゾン川の逆流ポロロッカを見るなら3~4月
世界的にも珍しい逆流現象、ユニークなサーフィン大会と聞けば、「実際に自分で見に行きたい」と感じる方もいらっしゃるでしょう。
そんな方は、最もポロロッカが発生しやすく、サーフィン大会も開催される3月後半~4月頃に観光するのがおすすめです。
アマゾンの河口ベレンは観光スポットも多く、数日滞在してもほとんど飽きることはありません。
アマゾン川クルーズなどは1日丸々楽しめるアクティビティですので、ぜひベレンを観光の拠点として、生のポロロッカをその目に焼き付けてください!
アマゾンに関してもっと知りたい方は『アマゾン川の巨大淡水魚「ピラルク」7つの特徴 | 食べると美味しいって本当?』や『アマゾン川の魚5選!観光で食べられる巨大魚から危険種まで』も併せてご参照ください。
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