「ブラジルのスポーツ」と言えば何と言ってもサッカーが有名ですが、実は野球の代表チームも世界的に強いことをご存知でしょうか?2013年にはWBCで日本の侍ジャパンを苦しめたこともあり、野球ファンなら何となく覚えている方も多いでしょう。
そんなブラジル野球の背景にあるのが、日本からブラジルへ渡った日系移民や、ヤクルトなどの日系企業です。特にヤクルトアカデミーはブラジル野球の基盤を支える施設と言っても過言ではありません。
この記事ではブラジル在住時に現地の野球チームにも参加していた僕が、ブラジルにおける野球の歴史やWBCでの実績、さらに日本人の方なら気になるヤクルトアカデミーについても詳しく解説します。
- ブラジルで野球を広めたのは日系移民
- 2013年WBC「日本vsブラジル」の激闘をおさらい
- ブラジルの優れた選手を輩出するヤクルトアカデミーとは?
ブラジル出身の野球選手について知りたい方は『ブラジルの野球選手 | 日本のプロ野球&メジャーリーグで活躍した選手』も併せて参照してください。
ブラジルにおける野球の歴史 | 日系移民の影響
ブラジルの野球文化を語るうえで、日系移民の影響は欠かせません。日系移民がブラジルに渡ったのは1908年以降で、ブラジルに野球文化が根付いたのもこの時期からとされています。
ブラジルに野球を持ち込んだのはアメリカ人
日系移民と切っても切り離せないブラジル野球ですが、ブラジルに野球を持ち込んだのは日系移民ではありません。19世紀後半に技師としてブラジルに渡っていたアメリカ人たちがサンパウロで野球をプレーしたことが記録にも残っています。
彼らは今でいう草野球のようにチームを組んで野球を楽しみ、技師の他にも現地在住の領事館関係者たちも参加したと言われています。野球はバットやグローブと言った道具が必要なため、当時は富裕層のスポーツだったとも言えるでしょう。
ブラジルでサッカーが広まった背景には、ほとんど道具が要らないという点も大きく影響していたよ!
ブラジルで野球人気を広めたのは日系移民
アメリカ人がブラジルに持ち込んだ野球ですが、その拡散に大きな影響を及ぼしたのは紛れもなく日系移民です。日系移民の中にはバットとグローブを日本から持参した人もおり、彼らは過酷な労働の癒しとして野球を嗜んでいました。
1920年には「ミカド野球倶楽部」や「ラッパ野球団」といった日系移民のチームが誕生し、アメリカ人チームと試合をしていたことが記録として残っています。1930年以降は日系移民が特に多かったサンパウロ州で地方選手権が行われ、1936年には形式的には全国選手権となる「全伯野球大会」が開催されました。
- 19世紀後半:アメリカ人技師によって野球がブラジルに伝わる
- 1908年:笠戸丸にて781名の日本人移民がブラジルに入植(日系移民のはじまり)
- 1920年:日系移民のチーム「ミカド野球倶楽部」や「ラッパ野球団」が発足
- 1930年:サンパウロ州で地方大会が開催される
- 1936年:初の全国選手権「全伯野球大会」が開催される
ブラジルの野球競技人口は約2万人に
はじめのうちは日系移民ばかりの大会でしたが、日系2世の誕生などに伴い徐々にブラジル人にも門戸が開かれるようになりました。その結果、現在ブラジルの野球競技人口は約2万人に及ぶと推定されています。
留学中にリオ郊外で行われた野球大会に参加していました。チームメイトは日系人中心でしたが、中には全く日系でない人も。メジャーリーグが好きで野球を始めるというブラジル人も多いようです。
WBC2013ではブラジル代表が日本代表を苦しめる
野球のブラジル代表が日本で広く認知されるようになったのは、2013年に行われたWBCでしょう。第1ラウンドA組に入った日本とブラジルは、初戦で想像以上の熱戦を演じることになります。
WBC2013 ブラジル代表vs日本代表のおさらい
試合前から日本の圧倒的有利とみられていたブラジル戦。先発もエースの田中将大だったため、誰もが楽勝モードで観戦していたことでしょう。
しかし1回にブラジル打線が田中将大を打ち崩し先制。4回5回にも追加点を重ね、5回を終えた時点で3-2とブラジルがリードしました。窮地に立たされた日本は8回にようやく3点を追加し逆転。そのままなんとか勝利をもぎ取りましたが、想像をはるかに超える大苦戦となりました。
チーム | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | H | E |
日本 | 0 | 0 | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 | 3 | 0 | 5 | 7 | 1 |
ブラジル | 1 | 0 | 0 | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 3 | 9 | 0 |
結局3戦全敗に終わったブラジル代表。それでも日本やキューバを苦しめた活躍は、世界中に驚きを与えたよ!
WBSC世界ランクでブラジルは21位にランクイン
WBSC(世界野球ソフトボール連盟)が発表した最新のランキング(2020年3月発表)によると、ブラジル代表は野球の世界ランキングで21位にランクインしています。2015年には最高となる14位にもランクイン。
野球の国際大会として有名な「プレミア12」は、次回から参加国を20国に増やし「プレミア20」として生まれ変わることが予定されています。ブラジルが20位以内に順位を上げれば、また国際舞台でブラジル代表の活躍を目にすることができるでしょう。
1位 日本 | 6位 オーストラリア | 11位 プエルトリコ | 16位 チェコ | 21位 ブラジル |
2位 アメリカ | 7位 キューバ | 12位 パナマ | 17位 イタリア | 22位 中国 |
3位 韓国 | 8位 ベネズエラ | 13位 カナダ | 18位 イスラエル | 23位 アルゼンチン |
4位 台湾 | 9位 オランダ | 14位 コロンビア | 19位 ドイツ | 24位 南アフリカ |
5位 メキシコ | 10位 ドミニカ | 15位 ニカラグア | 20位 スペイン | 25位 フランス |
野球ブラジル代表を支えるヤクルトアカデミー
野球がブラジルに根付いてから約100年以上が経ち、ブラジルは国際大会で活躍するまでの強豪国に登りつめました。野球をブラジルに広めた日系人の影響もさることながら、もう一つブラジル野球の成長に大きな影響を与えたのがヤクルトアカデミーの存在です。
ヤクルトスワローズに選手を輩出するヤクルトアカデミー
サンパウロの郊外にヤクルトアカデミーが開設されたのは1999年のこと。12~18歳の約40名の選手が寮生活をしながら、午前中は近隣の教育施設で勉学に、午後はヤクルトアカデミーで野球の練習に励むのが基本の生活スタイルです。
1999年の1期生には、日本のヤクルトスワローズで活躍した松元ユウイチや佐藤二郎(ツギオ)も。ヤクルトアカデミーで育った選手がヤクルトスワローズで活躍するという、理想的な流れが実現した例と言えるでしょう。
ヤクルトアカデミーからメジャーリーグへ
その後、MLB(メジャーリーグ)もこのプロジェクトに参入し、中南米の有力選手を集めたキャンプにはMLBのコーチが派遣されています。これまでに20名以上のヤクルトアカデミー出身者がMLBとマイナー契約を果たしており、MLB選手の養成所としての一面も。
- 松本ユウイチ(元ヤクルトスワローズ)
- 佐藤ツギオ(元ヤクルトスワローズ)
- 金伏ウーゴ(元ヤクルトスワローズ)
- 奥田ペドロ(元シアトルマリナーズ・マイナー)
- チアゴ・ビエイラ(2020年~読売巨人軍)
実際、ブラジル代表として活躍する選手の多くが、このヤクルトアカデミー出身者です。
野球ブラジル代表の躍進には日本の野球文化があった
技術的な面もさることながら、ヤクルトアカデミーで野球を習った生徒の多くは「日本の礼の文化を学んだ」と口にします。実際、グラウンドに入る際に帽子を取って一礼する選手が多く、日本以外の国としては非常に珍しい光景です。ブラジル野球の根底には、まぎれもなく日本の野球文化がしっかりと根付いていると言えるでしょう。
次回のWBCは2023年に予定されており、またブラジルと日本が相まみえる機会もあるかもしれません。ぜひこれからは日本の侍ジャパンだけでなく、ブラジル代表の活躍にも注目して下さい!
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