「ブラジル人の血液型は全員O型」はウソ！実際の比率とO型が多い理由

「ブラジル人の血液型は全員O型」

そんな話、どこかで耳にしたことありませんか？しかしこの話、確かに捉え方によっては一部本当と言えるかもしれませんが、基本的には誤りです。

この記事では、ブラジルに在住経験のある僕が、ブラジル人にO型が「多い」理由を解説したうえで、実際の血液型の割合もご紹介します。身の回りにブラジル人がいるという方は、誤解を無くすためにもぜひチェックしてくださいね。

ブラジル人の血液型O型の比率・割合は45％

早速ですが、ブラジル人の血液型を統計から分析してみましょう。下記のデータはブラジル・サンパウロの病院『SANTA CASA DE MISERICORDIA』から引用したものですが、Wikipediaでも同様のデータが記載されています。

トゥカーノ君

これだけでも「ブラジル人は全員O型」はウソだって分かるね。日本と比べても、そこまで大きな差はなさそう。

ブラジル人の血液型割合としては、O型が45%と最も多いことが分かりました。ではなぜO型が一番多いのか、ここでは2つの理由から紐解いていきたいと思います。

1つ目に挙げられるのは、梅毒をはじめとした伝染病の流行です。定説によると、かつて南米で梅毒が流行した際、O型のみに抗体があったため、O型のみが生き延びたという過去があるようです。

ヒロ

実際にデータや資料として残っているかは謎ですが、南米にO型が多い理由として有力視されています。

もう一つは、「創始者効果」や「ボトルネック効果」と呼ばれる遺伝上の効果です。簡単に解説すると、一定の生物集団が隔離されると、元の大きな生物集団とは異なる遺伝子頻度が現れ、均一化していくことをこのように呼びます。

ヒロ

南米大陸の先住民はもともとベーリング海峡を渡ったので、こうして遺伝的に似た人が集まったと言えるようです。

これまでの話をふまえると、「ブラジル人は全員O型」というのは、「純血」のブラジル人に限ってはあてはまる話かもしれません。しかしここで気になるのは、ブラジルにおける「純血」という概念です。

ブラジルにはもともと先住民が暮らしていましたが、大航海時代以降はポルトガル人をはじめとしたヨーロッパ人、アフリカからの黒人奴隷がやってきて、「先住民・ヨーロッパ人・黒人奴隷」という3つの異なる民族が共存する国になりました。

そして1900年代には世界各国から大量の移民もやってきます。近隣の南米各国はもちろん、イタリア・スペイン・ポーランド・ドイツなどのヨーロッパ諸国、そして日本からもたくさんの移民が海を渡りました。実際、現在のブラジルはアメリカと同様に「人種のるつぼ」としての側面も持っています。

確かに先住民の「ブラジル人純血」は全員O型だったかもしれませんが、こうした多種多様の民族が混ざり合うと、もう「純血」という概念はもはや存在しないと言っても良いでしょう。

「混血」の進んだブラジルにおいては、O型の割合は45%とそれほど高くありませんが、他の南米諸国ではO型の割合が非常に高い国が依然として存在します。

トゥカーノ君

チリは驚異の86.7%！世界平均が41%だから、2倍以上の数字だね！

理由としては、先ほどご紹介した遺伝的な理由に依るところが大きいと言えるでしょう。南米は世界的に見てもO型の割合が多い地域ですので、豆知識として覚えておくと良いかもしれません。

「ブラジルは全員O型」というのは、遠い昔には当てはまったかもしれませんが、これだけ混血が進んだ現代においては当てはまりません。「O型が多い」という認識に留め、間違った知識や先入観を持つことのないよう、十分に注意してくださいね。