「ブラジルの映画」と聞いても、いま一つピンと来ない方が多いのではないでしょうか?
確かに日本でロードショーとして公開されたブラジル映画は非常に少ないため、作品が思い出せないのも無理もありません。
そこでこの記事では、ブラジル在住時によく映画館にも出かけていた僕が、
- 日本でも有名なブラジル映画
- ブラジル国内で大ヒットした映画
の2つの観点から、おすすめのブラジル映画を7つご紹介します。
- ブラジル映画ってどんな特徴がある?
- スラムを描いた映画はどれがおすすめ?
- 家族で観られるブラジル映画はある?
簡単なあらすじは紹介しますが、ネタバレはありません。安心して読み進めてください!
ブラジル映画の3つの特徴 | スラムを舞台にした映画も
「ブラジル映画」と聞いても、どんなものなのか想像すらつかない方が多いかもしれません。そこでまずは、ブラジル映画における「ブラジルならでは」の特徴を3つご紹介します。
ブラジル映画の特徴 1:ドキュメンタリーが多い
ブラジル映画の傾向として、編集に手をかけないドキュメンタリー映画が多いことが挙げられます。
特に1950年代にブラジルで起きた「シネマ・ノーヴォ」(「新しい映画」の意)という運動では、ありのままのブラジルを描くことが重要視されました。
- 制作費をかけない
- 社会的問題を描写する
- ブラジル人のリアルな日常を描く
これはイタリアのネオレアリズモや、フランスの映画運動「ヌーヴェルヴァーグ」を踏襲したもので、現在のブラジル映画の基盤になっています。
“uma câmera na mão e uma idéia na cabeça”「カメラを手に、アイデアを頭に」は、シネマノーヴォを象徴するキーワードだよ!
ブラジル映画の特徴 2:スラムを描いたものが多い
ブラジル映画ならではの特徴として、スラム街(ファベーラ)を描いた作品が多いことが挙げられます。
ギャングと警察との抗争は、スクリーン上で観るとかなりの迫力。ファベーラは「ブラジルの象徴」として、ブラジル映画に欠かせない存在になっています。
スラム関連の映画は、実話に基づいたものがほとんど。リアリティがあるのも人気の理由でしょう。
ファベーラについて詳しく知りたい方は『ブラジルのファベーラとは?個人で観光すると超危険な理由』を併せてご参照ください。
ブラジル映画の特徴 3:ラブシーンがしっかり描かれる
ロマンチックが大好きなブラジルでは、恋愛映画の割合も非常に高いと言えます。そして恋愛映画の多くでは、なんとラブシーンがしっかりと描写されるのです。
日本でも簡単なベッドシーンはありますが、ブラジルではベッドシーンもかなり長め。スクリーンを通してラブシーンをこれだけ見ていれば、ブラジル人も自然と愛情表現が豊かになるわけです。
お子様と一緒に見る時は、注意が必要だね!
ブラジル人の恋愛事情が気になる方は『【男女別】ブラジル人の恋愛観 | 恋人未満の「お試し期間」とは?』も併せてご参照ください。
名作がズラリ!ブラジル映画のおすすめ作品7選
それでは具体的に、おすすめのブラジル映画を7作ご紹介しましょう。
映画ファンなら一度は聞いたことのある名前が多く、「これもブラジルの作品なんだ」という発見があるはずですよ!
ブラジルのおすすめ映画 1:シティ・オブ・ゴッド
「日本で一番有名なブラジル映画」と言えば、おそらく『シティ・オブ・ゴッド』(原題:Cidade de Deus)ではないでしょうか。
『シティオブゴッド』はリオデジャネイロのスラム街(ファベーラ)同士の抗争をテーマにした映画。写真家を目指すブスカペの目を通し、ファベーラで犯罪に手を染める少年たちの様子が描かれています。
モデルになったシダーヂ・ヂ・デウス(Cidade de Deus)は、リオデジャネイロに実在するファベーラ。2016年、リオデジャネイロオリンピック女子柔道で金メダルに輝いたラファエル・シルバ選手は、このシダーヂ・ヂ・デウス出身です。
映画の音楽を手掛けたセウ・ジョルジ(Seu Jorge)は、ブラジルを代表するミュージシャン。彼の音楽に注目すると2倍楽しめますよ!
ブラジルのおすすめ映画 2:エリート・スクワッド
ファベーラを描いた映画としてもう一つ欠かせないのが、2007年に公開された『エリート・スクワッド』(原題:Tropa de Elite)。
リオデジャネイロ警察の特殊警察作戦大隊(BOPE)をテーマにした映画で、ギャング駆逐作戦や抗争の様子がリアルに描かれています。
ブラジルでは公開するや否や大ヒットを記録し、観客動員数は1000万人を突破。当時のブラジル映画記録を更新したことで、大きな話題を呼びました。
ブラジルのおすすめ映画 3:黒いオルフェ
国際的に広く知られているブラジル映画としては『黒いオルフェ』(原題:Orfeu Negro)が挙げられます。アカデミー賞で外国映画賞を、カンヌ国際映画祭でグランプリを獲得するなど、その評価も折り紙付き。
舞台はリオのカーニバルの時期のファベーラで、男女の恋模様が描かれています。2人を待ち受ける悲しい結末に、きっとあなたも心揺さぶられるでしょう。
背景に流れるボサノバもとてもロマンチックで、小野リサをはじめ数多くのアーティストにカバーされています。
ブラジルのおすすめ映画 4:セントラルステーション
日本でも知名度が高いのが、『セントラルステーション』(原題:Central do Brasil)。
母親を交通事故で亡くした少年が、セントラルステーションで出会った老女と一緒に、一度も会ったことのない父親を捜しに行くロードムービーです。
ちなみにCentral do Brasil「セントラル・ド・ブラジル」(ブラジル中央駅)は、リオデジャネイロに実在するターミナル駅。この映画が好きなら、リオデジャネイロ観光の際に立ち寄ってみても良いかもしれません。
ブラジルのおすすめ映画 5:トラッシュ
2014年に公開された比較的新しい映画『トラッシュ』は、世界的にもヒットした映画。
リオデジャネイロのゴミ処理場で働く少年が、ある日ゴミの中から財布を見つけ、そこからストーリーが大きく展開していきます。
何かとハラハラする冒険映画ですが、世界を変えようと奮闘する少年たちの姿には励まされますよ!
ブラジルのおすすめ映画 6:ブルー 初めての空へ
『ブルー 初めての空へ』(原題:Rio)は、リオデジャネイロを舞台にしたアニメ映画。
飛べない青い鳥「ブルー」は、世界的にも珍しい絶滅危惧種。同じ種のメスに出会うべく、リオデジャネイロを彷徨うのですが、そこには思いもしないハプニングが待ち受けています。
子供は夢中になって、大人は肩の力を抜いて鑑賞できるので、家族での休日にピッタリですよ!
ブラジルのおすすめ映画 7:汚れた心
最後にご紹介するのは、戦時中にブラジルに暮らしていた日系移民を描いた『汚れた心』(原題:Corações Sujos)。
日本の敗戦を認める「負け組」と、日本の敗戦を受け入れない「勝ち組」が、互いに抗争し合う痛ましい歴史が描写されています。
日本人同士が争う様子は胸が痛むものがありますが、2014年の公開時には日本でも大きな話題となりました。
日系移民の歴史が気になる方は『ブラジルの日系人は約200万人!ブラジルと日本の意外なつながり』もチェックしてください。
ブラジル映画には独自の世界観がある
よく「フランス映画は独特だ」という意見を耳にしますが、ブラジル映画も同じように独特な世界観があると言えるでしょう。
ブラジル映画の背景には、ファベーラなどの社会問題、カーニバルなどの風物詩、ブラジル人の人生観など、実に様々なブラジルエッセンスが盛り込まれています。
ブラジル映画を一本観るだけでも、実際に旅しているようにブラジルの日常を垣間見ることができるよ!
ぜひ今度の週末は、ブラジル映画でいつもと違ったお休みを過ごしてみませんか?
- シティ・オブ・ゴッド
- エリート・スクワッド
- 黒いオルフェ
- セントラルステーション
- トラッシュ
- ブルー 初めての空へ
- 汚れた心
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