「有名なブラジル音楽の曲を1つ挙げてください」と言われても、具体的に曲名を答えられる方は少ないのではないでしょうか?しかし、ブラジル音楽は日本の暮らしにもしっかりと根付いており、誰もが無意識のうちにブラジル音楽に触れているものです。
そこでこの記事では、ブラジル在住歴がありブラジル音楽にも精通している僕が、日本人の誰もが知っているであろう超有名曲を7曲ピックアップしてご紹介します。
タイトルだけで分からなくても、実際に聞いてみれば「あーこれか」と納得するはず。遠く離れたブラジルを身近に感じることができますので、ぜひチェックしてください!
ブラジル音楽はサンバだけじゃない!各ジャンルの特徴
まず多くの方が勘違いしていることですが、「ブラジル音楽=サンバ」という考えは誤りです。確かにサンバは世界的に有名ですが、サンバは飽くまでブラジル音楽の一種に過ぎません。
- サンバ:ブラジル音楽のシンボル的存在
- ボサノバ:語るような歌い方が特徴
- MPB:ポップ音楽全般
- セルタネージョ:田舎風のカントリーミュージック
- ファンク:ファベーラ(スラム街)で人気が高い音楽
- ロック:国際的に有名なバンドも多い
- ショーロ:楽器だけを用いたインストゥルメンタル音楽
- パゴージ:日常的なサンバ
- フォホー:ブラジル北東部のカントリーミュージック
- サンバヘギ:サンバとレゲエの融合
- アシェ:ブラジル北東部のアップテンポなジャンル
- マラカトゥ:ペルナンブーコ州の伝統音楽
上記に挙げた12個以外にも、地域によって様々な音楽ジャンルが存在します。サンバはブラジル音楽の中でわずか一握りに過ぎないということがお分かりでしょう。
この記事でご紹介する7曲にも、「純粋なサンバ」と呼べるものはほぼありません。あらゆるジャンルがごちゃ混ぜに絡み合っているのが、ブラジル音楽の大きな特徴とも言えます。
サンバの定義や歴史について詳しく知りたい方は『ブラジルのサンバとは?リオのカーニバルだけじゃない音楽と歴史』を併せて参照してください。
ブラジル音楽の超有名曲7選 | 絶対一度は聞いたことある
それでは早速、誰もが一度は聞いたことがあるであろうブラジル音楽を7曲ご紹介します。日本でカバーされている楽曲も多いので、ぜひ聞いたことがないかチェックしてみてください!
ブラジル音楽の超有名曲 1:サンバ・ジ・ジャネイロ(Samba de Janeiro)
「ブラジル」と聞いて多くの方が連想する曲が「サンバ・ジ・ジャネイロ」でしょう。実際、テレビ番組などでブラジル関連のテーマが出たときには、必ずと言って良いほどこの曲が流れます。
「サンバ・ジ・ジャネイロ」は、ブラジルではなくドイツのベリーニ(Bellini)というグループによって発表された曲。ドイツだけでなくイギリス、オーストリア、ハンガリーなどヨーロッパ各国で大ヒットとなり、日本でもブラジルを連想させる定番曲となりました。
- 歌手:ベリーニ(Bellini)
- 発表年:1997年
ブラジル音楽の超有名曲 2:マシュケナーダ(Mas Que Nada)
「マシュケナーダ」はブラジルの大御所音楽家ジョルジ・ベン・ジョールによって作られた名曲。アメリカを中心に活躍したブラジル人歌手セルジオ・メンデスがカバーしたことで、アメリカのみならず世界中で知られる曲となりました。
曲名の「マシュケナーダ(Mas que nada)」は、ブラジルのスラングで「そんなの関係ない」という意味。文脈によって捉え方も異なり、日常会話で使われることは決して多くありません。
- 歌手:ジョルジ・ベン・ジョール(Jorge Ben Jor)
- 発表年:1963年
ブラジル音楽の超有名曲 3:イパネマの娘(Garota de Ipanema)
ボサノバの名曲として世界的に有名なのが「イパネマの娘」。作曲にアントニオ・カルロス・ジョビン、作詞にヴィニシウス・ヂ・モライスと、ブラジル音楽の2人の巨匠が関わっており、日本でも小野リサさんをはじめ多くの音楽家にカバーされています。
イパネマはリオデジャネイロに実在する有名なビーチで、ビーチを歩いていた綺麗な女性が曲のテーマになっています。この女性にもモデルが実在し、曲名と同名のブティックを出店したことでも話題になりました。
- 歌手:アントニオ・カルロス・ジョビン(Antônio Carlos Jobim)
- 発表年:1962年
アントニオ・カルロス・ジョビンはリオデジャネイロを代表する人物として、国際空港の名前にもなっています。詳しく知りたい方は『リオデジャネイロ空港から市内へ。4通りのアクセスを元在住者が比較解説』を併せて参照してください。
ブラジル音楽の超有名曲 4:ブラジル(Aquarela do Brasil)
Aquarela do Brasil「ブラジルの水彩画」は、ディズニー映画によって世界的に有名になった曲。日本では「ブラジル」という名前で広く知られ、吹奏楽の定番曲にもなっています。
歌詞はブラジルの自然を賛美する内容で、「ブラジルのアイデンティティ」を求めた当時のヴァルガス大統領の政策にかなったものでした。同じくアイデンティティ確立に用いられたサッカーについては『ブラジルのサッカーはなぜ強い?住んで分かった3つの理由』を参照してください。
- 歌手:アリ・バホーゾ(Ary Barroso)
- 発表年:1939年
ブラジル音楽の超有名曲 5:ランバーダ(Lambada)
「ランバーダ」はフランスのカオマ(Kaoma)というグループによって発表された曲。グループにはブラジル人も在籍し、中南米のダンスミュージックとして世界的に認知されるようになりました。
原曲はボリビアのロス・カルロスという音楽家が発表したもので、無断盗作として訴訟問題に。結局、著作権整備が進んでいなかったことからカオマが罪に問われることはありませんでしたが、大きな遺恨を残すこととなりました。
- 歌手:カオマ(Kaoma)
- 発表年:1989年
ブラジル音楽の超有名曲 6:アイスィエウチペゴ(Ai Se Eu Te Pego)
2000年以降のブラジル音楽で一番有名な曲と言えば、やはり「Ai Se Eu Te Pego」。日本語にすると「君を捕まえたい」という意味で、サッカーのネイマール選手がゴール時のパフォーマンスとして踊ったことでも知られています。
ヨーロッパを中心に爆発的なヒットを見せ、Youtube再生回数は9.7億回に。日本では上地雄輔さんが「VIVA ! Nossa Nossa」としてカバーしたり、人気サッカーゲーム「ウイニングイレブン」で使用されたりしたことで話題になりました。
- 歌手:ミシェル・テロー(Michel Telô)
- 発表年:2008年
ブラジル音楽の超有名曲 7:バラーダ・ボア(Balada Boa)
同じくネイマール選手の影響力で世界的に有名になった「バラーダ・ボア(Balada Boa)」。グスタボ・リマとネイマール選手は、実際に共演も果たしています。
フランスやアメリカなど多くの欧米諸国でチャート1位にランクインし、日本でも多くのサッカーファンの間で知られるようになりました。
- 歌手:グスタボ・リマ(Gustavo Lima)
- 発表年:2011年
有名なブラジル音楽は日本でBGMとしても人気
ブラジル音楽はBGMとしても非常に人気で、街の様々な場所でブラジル音楽が流れているのを耳にします。ここではブラジル音楽がもたらす2つの効果についてご紹介しましょう。
ブラジル音楽がBGMに人気の理由 1:リラックス効果
1つ目の理由は、主にボサノバなどのゆったりとした曲調から生まれるリラックス効果です。実際、カフェや飲食店といったお客さんが長居するような場所では、ゆったりとしたテンポのブラジル音楽が流れていることが多く見受けられます。
おしゃれなカフェなどはもちろん、最近はファストフードでもブラジル音楽が流れているのをよく聞きます。
ブラジルのコーヒーについて詳しく知りたい方は『本場ブラジルコーヒーの飲み方を元在住者が伝授!甘すぎ注意』も併せて参照してください。
ブラジル音楽がBGMに人気の理由 2:テンションが上がる
もう1つは、アップテンポの曲によってテンションを上げるという効果です。特にショッピングモールやスーパーなどで流れていることが多く、お客さんの購買意欲をかき立てる効果があると言われています。
楽しい気持ちになると、ついつい色々な物を買いたくなっちゃうよね。気分が落ち込んだときにも、ブラジル音楽は最高の治療薬になるよ!
ブラジル音楽には日本で有名な曲も多い
今回は特に代表的な7つの超有名曲をご紹介しましたが、「聞いたことある」と思える曲も多かったのではないでしょうか?実際はこれら以外にも、日本で有名なブラジル音楽はたくさんあります。
また、ブラジル人アーティストがライブのために来日することも珍しくありません。ブラジル音楽に興味がある方は、ぜひそうした最新情報もチェックしてみてくださいね!
- サンバ・ジ・ジャネイロ(Samba de Janeiro)
- マシュケナーダ(Mas Que Nada)
- イパネマの娘(Garota de Ipanema)
- ブラジル(Aquarela do Brasil)
- ランバーダ(Lambada)
- アイスィエウチペゴ(Ai Se Eu Te Pego)
- バラーダ・ボア(Balada Boa)
ブラジルについて詳しく知りたい方は『ブラジル料理20選!定番から家庭料理まで元在住者おすすめを解説』や『ブラジルナッツがもたらす15の効果・効能【元在住者が解説】』も併せて参照してください。
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