日本が周辺のアジア諸国と仲が良くないように、世界的に見ても隣国同士は仲が悪いもの。南米の2大国に数えられるブラジルとアルゼンチンも、決して例外ではありません。
この記事では、ブラジルに在住歴のある僕が、ブラジルとアルゼンチンの熾烈なライバル関係を基本データ、歴史、サッカーなど様々な観点から比較します。
特にサッカーにおける両国のライバル関係は非常に熱いものがありますので、サッカーファンの方は必見です!
- ブラジルとアルゼンチンは戦争をしたこともある
- ブラジルとアルゼンチン。気になるサッカーの通算成績は?
- ブラジルとアルゼンチンの間にある世界遺産「イグアスの滝」
ブラジルとアルゼンチン | 南米のライバル2国を比較
南米1位の座を巡り、何かと対立しがちなブラジルとアルゼンチン。まずは両国の概要から比較してみましょう。
比較項目 | ブラジル | アルゼンチン |
人口 | 約2億1000万人 | 約4500万人 |
国土面積 | 約850万㎢ (日本の約23倍) | 約280万㎢ (日本の約7倍) |
首都 | ブラジリア | ブエノスアイレス |
公用語 | ポルトガル語 | スペイン語 |
通貨 | レアル(1レアル=約20円) | ペソ(1ペソ=約1.2円) |
GDP | 約1兆円3600億円ドル | 約3800億ドル |
政治体制 | 連邦共和制(大統領制) | 立憲共和制(大統領制) |
ブラジルの首都がリオやサンパウロでない理由は『ブラジルの首都はブラジリア | リオやサンパウロでない4つの理由』、言語が違う理由は『ブラジルの公用語はポルトガル語 | 英語はあまり通じません』をご参照ください。
ブラジルとアルゼンチンが関わった2つの大きな戦争
何かとライバル関係にあるブラジルとアルゼンチンは、長い歴史の中で戦争をした過去もあります。ここでは両国の歴史において非常に重要な意味を持つ2つの戦争をご紹介しましょう。
ブラジルとアルゼンチンの戦争史 1:シスプラティーナ戦争
長い歴史の中で、ブラジルとアルゼンチンの両国が最も激しく争ったのはシスプラティーナ戦争(1825年~1828年)。他にも小さな争いはありますが、規模としてはシスプラティーナ戦争が史上最大級です。
これはブラジルの統治下にあったバンダ・オリエンタル地方(現在のウルグアイ)の独立をアルゼンチンが支援し、アルゼンチンへの帰属を宣言したのがきっかけとなって起こった戦争で、最終的にウルグアイは独立を達成。4年間にわたる戦争でブラジルとアルゼンチンの両国は互いに疲弊し、結果的にイギリスが自由貿易地帯を手に入れたことで最も利益を得る結果となりました。
ブラジルとアルゼンチンの戦争史 2:パラグアイ戦争
ブラジルとアルゼンチンの戦争と言えば、南米最大の戦争とも言われるパラグアイ戦争(1864年~1870年)も忘れてはいけません。ただし、パラグアイ戦争はブラジル・アルゼンチン・ウルグアイの3国が連盟を結び、パラグアイに対立した戦争です。
結果は、南米での勢力拡大を目指したパラグアイの大敗に終わり、パラグアイは人口の半分が戦死。国力も大きく衰退し、「ブラジルとアルゼンチンの2大国化」が進んでいきました。
今でもブラジル人にとって「戦争」は、このパラグアイ戦争を指すこともあります。
【サッカー】ブラジルvsアルゼンチンの7つの成績比較
ブラジルとアルゼンチンのライバル関係と言えば、サッカーを思い浮かべる方も多いでしょう。そこでここからは、ブラジルとアルゼンチンのサッカーはどちらが強いのか、7つの項目を比較していきます。
ブラジルとアルゼンチンのサッカー比較 1:対戦成績はほぼドロー
ブラジルとアルゼンチンの直接対決に関するデータで興味深いのは、ブラジルサッカー連盟(CBF)、アルゼンチンサッカー連盟(AFA)、FIFAの3つでそれぞれデータが異なること。この違いは主に1912年以前の親善試合をカウントするか、各国サッカー連盟の設立年の違いなどから生じています。
データ元 | 総試合数 | ブラジルの勝利数 | アルゼンチンの勝利数 | 引き分け数 |
ブラジルサッカー連盟(CBF) | 106戦 | 43勝 | 38勝 | 25分け |
アルゼンチンサッカー連盟(AFA) | 106戦 | 41勝 | 40勝 | 25分け |
FIFA | 107戦 | 42勝 | 39勝 | 26分け |
ブラジルとアルゼンチンの試合数は一緒だけど、どの試合を公式戦としてカウントするかによって微妙な差が生まれているよ。いずれにしても差がほとんど無いね!
ブラジルとアルゼンチンのサッカー比較 2:ワールドカップ
サッカーにおいて最も権威のあるワールドカップの成績を比較してみましょう。ブラジルが最も優勝回数が多いのは言わずもがなですが、アルゼンチンも大健闘していることが良く分かります。
ワールドカップ | ブラジル | アルゼンチン |
通算出場回数 | 21回(1位) | 17回(4位) |
試合数 | 109戦(1位) | 81戦(4位) |
成績 | 73勝18敗18分け(1位) | 43勝23敗15分け(4位) |
通算得点 | 229点(1位) | 137点(3位) |
優勝 | 5回(1位) | 2回(4位) |
準優勝 | 2回(4位) | 3回(2位) |
ベスト4 | 4回(2位) | 0回 |
ブラジルとアルゼンチンの間にはドイツ(西ドイツ含む)やイタリアなどが入ります。
ブラジルとアルゼンチンのサッカー比較 3:1990年ワールドカップ
ブラジルとアルゼンチンがワールドカップで直接対決を果たしたことも過去に数回ありますが、中でも両国の記憶にしっかりと刻まれているのが1990年のイタリア大会。ラウンド16でいきなり南米のライバル同士の試合が実現し、結果は1対0でアルゼンチンが勝利しました。
これで勢いに乗ったアルゼンチンは決勝で西ドイツに敗れるものの準優勝。今でも両国の因縁の試合として語り継がれています。
ブラジルとアルゼンチンのサッカー比較 4:コパ・リベルタドーレス
ブラジルがワールドカップ最多優勝を自慢すると、アルゼンチン人は必ずと言って良いほどリベルタドーレスを引き合いに出します。これは南米No.1のクラブを決める大会で、アルゼンチンはボカ・ジュニアーズやリーベル・プレットをはじめ、最多の優勝を記録しています。
成績 | ブラジル | アルゼンチン |
優勝 | 20回 | 25回 |
準優勝 | 16回 | 12回 |
ブラジルの最多優勝はサンパウロ・サントス・グレミオの3回。それに比べアルゼンチン勢はインデペンディエンテが7回、ボカ・ジュニアーズが6回、リーベル・プレットが4回と圧倒的だよ!
ブラジルとアルゼンチンのサッカー比較 5:ペレvsマラドーナ
サッカーに熱い両国にとって、もはや永遠のテーマとも言えるのが「ペレとマラドーナどちらがすごい?」という問題。ペレとマラドーナは両国の英雄的存在であり、互いにものすごいプライドを持っています。
成績 | ペレ(ブラジル) | マラドーナ(アルゼンチン) |
プレーした主なチーム | サントス | ボカ・ジュニアーズ、バルセロナ、ナポリ |
通算年数 | 22年(1956年~1977年) | 22年(1976年~1997年) |
通算出場試合数 | 1363試合 | 679試合 |
通算得点数 | 1281点 | 345点 |
ワールドカップ出場回数 | 4回 | 4回 |
ワールドカップ出場試合数 | 14試合 | 21試合 |
ワールドカップゴール数 | 12点 | 8点 |
ワールドカップ優勝回数 | 3回 | 1回 |
プレーした年代が全く違うのでなかなか比べられないところ。数字だけ見るとペレの方がすごそうですね。
ブラジルとアルゼンチンのサッカー比較 6:ネイマールvsメッシ
「ペレvsマラドーナ」の構図を現代に投影したのが「ネイマールvsメッシ」でしょう。互いにペレ、マラドーナから「後継者」に指名されており、バルセロナでは同時期にプレーしたことでも話題を集めました。
成績 | ネイマール(ブラジル) | メッシ(アルゼンチン) |
トップチームでの経歴 | 2009年~ | 2003年~ |
プレーした主なチーム | サントス、バルセロナ、パリSG | バルセロナ |
出場試合数 | 516試合 | 768試合 |
得点 | 325点 | 663点 |
アシスト | 163回 | 291点 |
バロンドール受賞歴 | 0回 | 6回 |
キャリア年数が違えど、ここまではメッシが圧倒している印象だね!
ブラジルとアルゼンチンのサッカー比較 7:最新のFIFAランキング
最後に、最新のFIFAランキングを比べてみましょう。アルゼンチンは2014年ワールドカップでは準優勝、2018年ワールドカップでは優勝国フランスと激戦を演じましたが、ここ数年は低迷していると言えます。
データ発表年月 | ブラジル | アルゼンチン |
2021年2月 | 3位 | 7位 |
2020年12月 | 3位 | 7位 |
2020年11月 | 3位 | 7位 |
2020年10月 | 3位 | 8位 |
2020年9月 | 3位 | 9位 |
ブラジルサッカーがなぜ強いかを知りたい方は『ブラジルのサッカーはなぜ強い?住んで分かった3つの理由』、ペレやネイマールが所属したサントスについては『ネイマールがサントス時代に獲得したタイトル&伝説のゴール3選』をご参照ください。
ブラジルとアルゼンチン | サッカーが強いのはブラジル
ブラジルとアルゼンチンのサッカーに関する7つの成績をご紹介しましたが、両者の実力にはほとんど差がないということが実感できたのではないでしょうか?ただし、7つの成績をジャッジするとすれば、若干ですがブラジルの方が優秀な成績を収めていると言えそうです。
何かとライバル関係が激しいブラジルとアルゼンチンですが、互いにしのぎを削って成長してほしいものですね。いつの日かワールドカップ決勝戦でブラジルvsアルゼンチンが見られることを期待しましょう!
ブラジルとアルゼンチンの間には世界遺産イグアスの滝
特にサッカーにおいては激しいライバル関係にある両国ですが、ちょうど両国の間には世界遺産にも登録されている「イグアスの滝」があります。
両国をセットで観光すると、隣の国とは思えないほど異なる街並みや人種構成などに驚かされることでしょう。ブラジルをぐるりと一周するのも素敵ですが、時間がある方はぜひアルゼンチンにも足を延ばしてみてください!
2016年にはじめてブエノスアイレスに行きましたが、あまりに違いすぎてびっくり!ヨーロッパのような街並みはとても洗練されています。
ブラジルに興味が湧いた方は『ブラジル料理20選!定番から家庭料理まで元在住者おすすめを解説』や『ブラジルの日系人は約200万人!ブラジルと日本の意外なつながり』も併せてご参照ください。
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